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  • Samantha Lees

なぜ企業はサステナブルなビジネストラベルをするべきなのか


新型コロナウイルスの影響で、ほとんどの業務がオンラインでできるようになり、ビジネストラベルの必要性が疑問視されるようになりました。しかし、このような困難な経験を経ることで、逆に人々の交流がより重要視され、ビジネスの成功には対面のコミュニケーションが必要だという認識が広がっていることも事実です。9.11アメリカ同時多発テロと2008年のリーマンショックの危機が発生した時、経営陣はビジネストラベルこそが、社員や企業文化、企業競争力への投資になると考えてこれを復活させたという事実も、アメリカンエキスプレス・グローバルビジネス社から報告されています。


同時に、サステナブルなビジネス慣行は、顧客や社員、投資家からますます求められています。企業がサステナブルな形でビジネスすることは、もはや「すると良いこと」ではなく、「しなければいけないこと」なのです。


なぜ企業はサステナビリティを優先すべきなのか

2020年7月に実施されたキャップジェミニ・リサーチ・インスティテュートによる調査によると、79%の消費者が社会的責任、包括性、環境への影響に考慮して購買行動をとっています。


その証拠に、サステナブルだと認知されている企業は、そうでない企業よりも業績が良いというデータがあります。「語るだけでは不十分。ブランドが行動を起こし違いを生み出すためにコミットメントを示すことが欠かせない」と語るアラン・ジョープ氏がCEOを務めるユニリーバでは、サステナブルな生活雑貨ブランドが、社内の他のビジネスラインの売上を69%も上回っているのです。


名実ともにサステナブルな企業であることは、有能な人材を惹きつけることにも大いに寄与します。実にイギリスの労働人口の半数以上が、職場を選ぶ上でサステナビリティは重要な要素だと考えているのです。


投資家やキャピタルマーケットは、近年、ESG投資(非財務情報である環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の観点から分析して行う投資)をますます本格的に導入するようになりました。ブルームバーグ・インテリジェンスによると、2021年上半期のサステナビリティ関連銘柄への資本流入(630億ドル)は、すでに2020年度全体の水準(800億ドル)に近づいており、2018年に比べて9倍近い伸びとなっています。


これらの動きに応じて、ESGに係る情報の開示に関する法的要件が企業に課せられるようになってきました。例えば、欧州委員会が今年新たに提案した企業の持続可能性に関する情報開示指令(CSRD)は、より広範囲にわたる会社の非財務業績の詳細な報告要件が採用されています。


サステナビリティとは一体 ー なぜビジネストラベルに関係があるのか


サステナビリティとは「将来の世代のニーズを満たしつつ、現在の世代のニーズも満足させる状態」と定義されます。観光は本来、国連が定める17の持続可能な開発目標目標(SDGs)のすべてに影響するため、持続可能な開発の推進には欠かせないと考えられています。


観光によって最も影響を受けるものの一つが「環境」です。特に、炭素排出や気候変動への影響、そして生物多様性の喪失が大きな課題として挙げられます。ビジネストラベルを含む観光による温室効果ガス(GHG)排出量は、コロナ以前の世界全体の排出量の8%を占めており、人為的な気候変動の一因となっています。また観光は、食料、エネルギー、インフラなどに密接に関係しているため、生物多様性に対しても大きな影響を与える原因となっています。


驚くべき速さで加速している気候変動と生物多様性の喪失は、「経済」にも大きな影響を及ぼします。最近のCDPグローバルサプライチェーンレポートによると、気候変動、森林破壊、水不足によって、今後5年以内に企業収益が合計1兆2600億ドル減少すると予測されています。一方生物多様性を保全することは、食糧の供給、炭素の貯蔵、水と空気のろ過に繋がり、大きな経済的価値をもたらすと考えられています。BCGによると、その経済的価値は年間150兆ドル以上に上ると推計されています。


世界の雇用の10%を観光業関連が占めていることからも分かるように、観光は「社会」にも大きな影響を与えます。人権問題はホテル業や旅行業などのホスピタリティ業界にとって真剣に向き合わねばならない課題です。ホテルで働く移民労働者には、移動の制限や残業代の不払い等、不当な労働条件で働かされている人が多くいると言われています。また、観光業は脆弱な農村地域の経済状況に良くも悪くも影響し、所得格差を広げる原因となっています。



最後に、サステナブルな旅行とは、企業にとってはコストを抑えたビジネストラベル、ということでもあります。たとえば、鉄道を使った移動は飛行機よりも安いことがほとんどですし、燃料、駐車料金、保険などを考慮すれば、車両を貸切手配するよりも相乗りでの移動の方が経済的で便利です。


地球環境や社員の健康を大切にしているサステナビリティに配慮した企業では、社員の生産性とエンゲージメントが高くなると考えられています。ブッキングドットコムが実施した最近の調査によると、旅行者の61%が、コロナをきっかけに将来はよりサステナブルな旅行がしたいと答えています。つまり、多くの社員も同じように考えていると言えるでしょう。


サステナブルなビジネストラベルのために、何から始めれば良いのか


まずは何より、社会的・環境的・経済的観点から、しっかりとしたサステナブルな出張の方針を策定することです。このためには、効果的なコミュニケーションで経営陣から賛同を得、現場レベルからの行動変化を推進する必要があるでしょう。あるいは、最も低炭素で旅行を実施した社員に報酬を与えるなどのインセンティブプログラム導入も、環境配慮への行動変容に効果的であることが示されています。旅行中の環境影響の測定や削減、オフセット、そしてこれらの報告書の提出なども、出張方針の策定の上で忘れてはならないポイントです。


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